ホロスコープに示された事件
稲妻座の歌舞伎役者失踪事件
本陣殺人事件
昭和12年11月25日に一柳賢蔵と久保克子の婚礼が行われ、翌早暁に、新郎新婦が死に至る事件が発生する。これは、朝4時に水車小屋の水車が動き始めることがどうしても必要であったために、午前4時を過ぎたばかりのタイミングで起きた事件である。
このホロスコープでは、刃物による事件を示すシグニフィケーターの火星がみずがめ・4ハウスにあり、みずがめの支配星である、突然の事件のシグニフィケーターでもある天王星は、おうし・7ハウスにあって、火星‐天王星は、タイトな90度の角度を形成している。確かに、事件は家庭内・屋内で起こり(4ハウス)、新郎新婦・夫婦が死に至った(7ハウス)わけである。おうしの支配星である金星は、さそり・1ハウスにあって、火星・天王星と、それぞれワイドな90度・180度の角度を形成している。
単純に考えれば、愛情の問題のもつれから、家庭内で、夫婦間の事件が起こった、ということができる。また、事件の被害者は1ハウス、犯人は7ハウスが示す。1ハウスの境界(カスプ)サインはてんびんであり、てんびんの支配星である金星は1ハウスにある。7ハウスの境界サインはおひつじであり、おひつじの支配星である火星は4ハウスにある。
この事件の発端は愛情のもつれであり、女性の側が性的な体験を有していたことへの、男性側の憎悪と、男性の「家」への葛藤から、具体的な事象にまで発展したものである。
ホロスコープに、表れているこの事件は、こうなる。被害者(1ハウス)は、若い女性(金星)であって、性的な問題(さそり)を抱えていた。犯人(7ハウス)は、男性(火星)であって、家におり(4ハウス)、その家(みずがめ)は、犯人(天王星)の家でもあって、若い女性(金星)と非常に近い(おうし)の人物である。また、犯人(火星)は、みずがめ的な、つまり、個人主義者で革命的な思想を持つ変人(みずがめ)である。また、犯人(天王星)は、所有が強く頑固で(おうし)もある。
これは、『本陣殺人事件』の種明かしそのものであり、この日付、この時間に起こったであろう事件は、こういう種類のものになったということが、ホロスコープに示されていたわけである。